3回目の大規模修繕工事(築35年から40年)①最大の大規模修繕工事

3回目の大規模修繕工事の特徴は、過去2回の工事よりも大きな費用がかかるという点です。これはマンションの本体に組み込まれているさまざまな部分が、既に寿命に達していることや、そうでなくとも確実に寿命に近づいているからです。

 具体的な例では、手摺り、サッシ窓や玄関扉などが挙げられます。また、給排水設備、配管、エレベーターといった設備関連も、改修が必要な時期になっているはずです。 そこに立ちはだかる一番の難問が資金計画です。いくらでもお金をかけられるというのであれば別ですが、そのような管理組合には出会ったことがありません。

理事会は限られた資金のなかでどの部分を工事せずに済ませるかを選択していくことが重要課題となります。 たとえば給水設備修繕と一言でいっても、実際には工法や材料、状況ごとにその工事も千差万別となります。

外壁や防水の大規模修繕工事は、過去の経験を活かすことができますが、3回目の大規模修繕工事の検討項目は、先に例としてあげたサッシや給排水設備などマンションの生涯でおそらくただ一度だけのものばかりですから、なかなか判断がつかないのは当然です。そのような課題をクリアするためには、計画立案の時点から修繕コンサルタントを加えて十分な準備を進めていくべきでしょう。

3回目の大規模修繕工事において考慮したいのは、管理組合員の高齢化です。
建物は築30年を超えても、それぞれの理事がまるでライフワークのように理事会に参加し、元気で前向きに運営するといった状態であれば、大規模修繕工事をきっかけとして、マンションをさらに魅力的なものへと成長させていけるものです。
住民の生活と建物、敷地が一体となり、それらが地域をはじめ周辺外部に与える印象が功を奏し、若い世代への住み替えも比較的上手くいっているケースも少なくありません。これはマンションの成長といっても良いものでしょう。ただし、その状態は単なる偶然やある日急にできあがるものでなく、これまでの理事会の努力のたまものであることは確実です。
ですから、3回目の大規模修繕工事は当事者である管理組合と理事会が「元気である」ことが絶対に不可欠となってきます。
新築から30年が経過すれば、当初からの管理組合メンバーは嫌でも高齢になっています。工事などやりたくない、面倒くさいといった意識が管理組合で多くを占めるようになってしまうと、マンションそのものも老いてしまいます。

元気なベテランが、マンションの魅力を引き上げる
元気な管理組合と理事会が、マンションの魅力を引き上げる

大規模修繕工事は十数年に一度のことですが、日常的な保守管理が継続するその間の時間、理事会が管理組合全体を巻き込んでマンションの生活価値育成にどれだけ貢献してきたかが現れてくる機会でもあるのです。理事になって3回目の大規模修繕計画にかかわることになるのなら、住民の老いも若きも巻き込んで、マンションの歴史をさらに先の時間へとつなげることにチャレンジしていってください。

本記事は、貴船美彦著作「マンション管理組合 理事になったら読む本」(幻冬舎2014年)から内容を抜粋して掲載しております。

大規模修繕で大切なのは「パートナー選びです」

大規模修繕コンサルタントを活用することで、快適なマンションライフのために何が必要で、そのためにはどんな工事・費用が必要かを整理することができます。その結果、様々な疑問をしっかり解消でき、納得できる修繕計画を実行することができるようになります。

是非詳細をご覧下さい。

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