マンションでは建物の各部分の劣化に対する耐用年数を想定し、大規模修繕工事を含む長期修繕計画を作成することになっています。国交省では12年を推奨していますが、現在では、大規模修繕工事の周期を12年~15年と設定している管理組合が多いようです。
しかし、この耐用年数はあくまでも机上の想定であり、実際には劣化の進行度合いは建物毎に異なります。前施工時の品質、立地環境、天候、使用頻度や日々のメンテナンスなどによって早まることもあれば、遅くなることもあるわけです。つまり建物それぞれの固体差、また各々の部分によってもまちまちということです。
必要な工事を適切な時期に行うためには、長期修繕計画上での大規模修繕工事時期の1~2年前には建物の調査診断を実施し、実態を把握した上で改めて工事実施時期や工事項目を定めることをお勧めします。
建築基準法に規程されている事項からの視点で周期を考えてみます。
建築基準法では、建築物の所有者、管理者又は占有者は、その建築物の敷地、構造及び建築設備を常時適法な状態に維持するように努めなければならないとされています。
平成20年4月の建築基準法改正で特定建築物定期調査などが厳格化されました。
自治体によっても異なりますが、マンションの場合、一定規模を超えるものは調査報告対象の特殊建築物に指定されています。(Ex.東京都の場合 東京都都市整備局ホームページより)
大規模修繕の周期に大きく影響するのは、外壁の仕上材によっては全面打診調査が必要となるという項目です。外壁の全面打診を行うには、当然『足場』が必要です。
具体的にいうと東京都の場合は、外壁の仕上材がタイル貼り、石貼り(乾式工法以外)、モルタル仕上のいずれかであり、10年を超えている場合3年以内に外壁改修や全面打診調査を行っていないのであれば、外壁改修工事を行うか指定部位全面打診調査が必要になりました。ほとんどのマンションが含まれると思います。すなわち、13年以内に大規模修繕工事が必要ということです。