マンションは鉄筋コンクリートであり、その強度は非常に優れています。地震に強く、火にも燃えません。多くのマンションが鉄筋コンクリート製であるのはまさにそれが理由です。
しかしながら、そんな鉄筋コンクリートにも弱点があります。それは「経年劣化」、時間と共に品質・性能が低下することです。それはコンクリートの素材の性質上、避けることができません。
先に触れたように、コンクリートの主成分は石灰石です。その特性のひとつにアルカリ性の強さがあります。つまり鉄筋コンクリートとは、アルカリ性が非常に強いコンクリートのなかに鉄筋が入っているものです。内部の鉄筋はアルカリ性に守られて錆びません。実はそれにより建物を支える強度が維持されているというのが、鉄筋コンクリートの強さの基本なのです。
コンクリートの寿命を測る尺度にはいくつかあります。ただし、鉄筋コンクリート自体のアルカリ性が失われることが強度に及ぼす影響は非常に大きく、直接的にマンションの寿命にかかわる条件となっています。なぜでしょう。
それは、コンクリートの素材である石灰石のアルカリ性度は時間の経過とともに低下していくからです。その結果、コンクリートは中性化していきます。そこで発生するのが内部の鉄筋の腐食です。鉄筋が錆びて膨張することで、ついには周辺のコンクリートを破壊してしまうのです。
これが一番顕著な鉄筋コンクリートの弱点である、建物崩壊のメカニズムと考えられています。つまり、コンクリートをいつまでもアルカリ性に保てれば、この崩壊のメカニズムは防げるのです。
本記事は、貴船美彦著作「マンション管理組合 理事になったら読む本」(幻冬舎2014年)から内容を抜粋して掲載しております。
つづく・・・