コンクリート中性化の防止が、マンションの強度維持の鍵になることはおわかりいただけたと思います。それを防ぐためには、まず、なぜアルカリ性が失われていくのかを理解することが必要です。その原因もまたひとつだけではありません。なかでも、はっきりとわかっている原因は空気と水です。
雨が降ると、マンションのコンクリートを雨水が濡らし染み込みます。大気中を落ちてくる過程で、この雨水には空気に含まれる二酸化炭素が溶け込んでいます。ソーダ水をイメージすれば近いでしょう。つまり、酸性の雨水がコンクリートに染み込むのです。

中性化のイメージ図
コンクリートの中性化は、この雨水の酸とコンクリートのアルカリが反応することで起こります。さらに雨水の酸だけではなく、湿潤したコンクリートには空気中の二酸化炭素そのものも溶け込みますから、それによっても酸化作用は一層進み中性化が促進されることになります。では、それを防ぐにはどのような手段が有効なのでしょうか。
極論をいえば、マンションのコンクリートを空気や水と遮断してしまえば良いのです。可能な限りコンクリートを直接外気や雨水に触れさせないようにすることが、中性化を防ぐのに有効な手段なのです。
ですから、マンションの維持保全の基本として、大規模修繕工事において第一に考えるべきことはこの点になります。
大規模修繕工事の第一の目的はマンションのコンクリートを中性化から守ることにあります。
ですから、大規模修繕工事の主体は外壁タイルの補修や塗装となるのです。また、屋上や屋根の防水も重要になります。常時、雨や紫外線にさらされている屋上や屋根に施された防水材は劣化が一番進行しやすいため定期的な補修が必要になります。

屋上などの防水現況を確認し、適切に補修していく必要があります
本記事は、貴船美彦著作「マンション管理組合 理事になったら読む本」(幻冬舎2014年)から内容を抜粋して掲載しております。
つづく・・・