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大規模修繕工事の原則は?⑤コンサルタントの使い方(管理組合の豆知識)

2016年8月5日|管理組合の豆知識カテゴリ:|管理組合の豆知識タグ:|投稿者:翔設計スタッフ (78)

マンション管理組合は多数の人間の寄合所帯です。さまざまな意見があるのが当然ですし、なかでも大規模修繕工事のように全員にかかわるばかりか、そこに多くの選択肢がある事柄についてはいろいろな意向や発言がでてきます。しかしながら、最終的には最高決定機関である総会でひとつの結論にまとめなければなりません。総会で反対意見が出るのは当然のことで、賛否両論の審議を経て最終的には多数決でひとつの方向へ進むことになります。
その手続き自体は何の問題もありません。ただし、生活の場としてのマンションを考えるとそう簡単にはいかなくなります。気がかりなのは、結論がでるまでの過程で賛成・反対と意見の対立した住民が、その結果次第で感情的なしこりを残してしまうことです。
コンサルタントはそれを防ぐための有効な手だてとなり得ます。ところが、理事会としてコンサルタントを使う機会が少ないこともあり、結果としてうまくコンサルタントを使いこなすことができないケースもあるようです。

総会

総会での意見のまとめ方にはコツがあります


具体的には、理事会とコンサルタントが共にまとめた原案を総会に提出する際には、原則的に「コンサルタントの提案」という形をとるのが良いでしょう。それに対し、賛成・反対の議論、そして投票を行います。この「原案=コンサルタント案」+「総会での審議」という表面的な形式がポイントです。これにより意見対立があったとしても後に禍根を残さず済むのです。
よりわかりやすく説明すると、コンサルタントの提案に対して常に理事会が検証する方針を採るということ。意見を募る場合も「コンサルタントからの提案はAですが、いかがでしょう」と伺いを立てて進めるのです。
まじめで熱意を持った理事会ほど、自分たちで考えた案を理事会の総意という形で提案する傾向があります。しかしながら、その審議過程での理事会と住民の意見対立が感情的なわだかまりになってしまう場合が多いのも現実です。また、そこまで深刻でなくとも、おなじ住民同士である理事会メンバーへの遠慮から、発言や反対意見を表明しにくいという雰囲気もあります。
日本の文化では依然として多数決という割り切り型の手法はなじみが浅く、対立が発生しやすいのです。それが共同生活を続けていく住民間の感情的な対立につながることは絶対に避けなければなりません。
そのためにコンサルタントに原案を提案させ、その賛否を多数決で決めるという手法が役立ちます。コンサルタントのなかには自分たちが”良い子”になりたがり住民の前には出ないケースもあるようですが、能力のあるコンサルタントは反対者に対してあえて悪者になることも仕事のうちだと考えています。

本記事は、貴船美彦著作「マンション管理組合 理事になったら読む本」(幻冬舎2014年)から内容を抜粋して掲載しております。

つづく・・・

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