大切な資金を使うのですから、大がかりな改良・改善工事は慎重にならざるを得ませんし、様々な可能性を考えるのが当たり前です。しかし、方針はどんな場合もそれほど異なりません。最大の効果をあげるための基本的なセオリーは「長所を伸ばせ、短所を隠せ」です。
ここでいう「長所」とは、個々のマンションの物件価値や生活価値の中にある魅力やコンセプトです。それらを補強し、伸ばしていくことで建物の魅力が増しますし、さらに費用対効果の高い改良・改善工事が実現できます。
一方、短所に対しては、そのマイナス面を十分理解することから始めます。最初に行うのは短所の再確認と今後それらにどう対峙していくかの確認です。
もちろん、ほとんどの短所はその解消に大きなコストが必要です。簡単に改善できるような短所が残っている場合は、むしろ単なる怠慢の結果であると思うべきでしょう。直しにくいからこその短所ですから、原則的にはそれを解消するには手間と費用がかかります。ただし、それらを十分理解すれば、それを目立たないようにしていくことは可能ですし、長所でそのマイナス面を補完していくこともできるようになります。
本記事は、貴船美彦著作「マンション管理組合 理事になったら読む本」(幻冬舎2014年)から内容を抜粋して掲載しております。
つづく・・・