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大規模修繕工事を成功させる3つの手法(管理組合の豆知識)

2016年11月4日|管理組合の豆知識カテゴリ:|管理組合の豆知識タグ:|投稿者:翔設計スタッフ (78)

大規模修繕工事の3原則をより具体化させるために、実際の業務を進める段階で理事会がとるべき3つの手法について説明します。
もちろんマンションとその管理組合も千差万別ですから、この手法をすべてに適応できるわけではありません。しかし、十分役に立つものであることは間違いないでしょう。

手法1.楽しさの演出
理事会は大規模修繕工事が楽しいものであるという姿勢を管理組合全体でイメージできるよう仕向けることが大切です。
基本的に修繕工事によってマンションはきれいで便利になり、生活がしやすくなるのですから、その作業は楽しいものであるはずです。しかし理事会における大規模修繕工事と聞けば、たいへんな仕事というイメージが定着してしまっています。また一部には、大規模修繕を楽しくすることは、まじめに取り組んでいない証拠だという感覚もあるようです。それは大きな間違いです。
たとえば、マンションのどこかをほんの少しだけ変えてみることを修繕計画に織り込むとしたらどうでしょう。エントランスの照明ひとつをちょっと素敵なものに変える――それだけでも杓子定規の「やらされる」仕事が「自主的な」楽しいものに変わるはずです。楽しんでまじめに取り組むことが大切です。楽しさはすべてのエネルギー源なのです。

手法2.「事前方針書」の作成
一般に60年とも80年ともいわれるマンションの寿命。その長期にわたる時間の流れのなかでそれぞれの大規模修繕工事の位置づけは違ってきます。実施計画に取りかかる前に、工事の位置づけをしっかりと決めてスタートすることが大切です。
大規模修繕工事の位置づけを決めていく過程では、過去からの流れを理解し将来を予測していくことが欠かせません。予測から今回の修繕工事の目的を決定します。
この修繕工事の位置づけおよび目的を基本計画として明確にし、書面化して理事会でその内容を共有してから工事内容の具体的な検討に入るべきです。実施計画策定の途中で基本計画にブレが出るようでは多くの無駄な議論が発生し、何を目的として議論をしているのかがわからなくなってしまいます。
理事会は、検証や決定に長い時間がかかる組織であるが故に、ついつい本来の目的が曖昧になってしまいがちです。それを避けるためにも基本計画を書面でしっかりと確認し、常にそれを確認することを理事会の原則とすることが大切です。とはいえ、さまざまな条件の中で最初に定めた基本計画が変わってくる場合もあります。そんなときには多少面倒でも、基本計画を修正し、理事会で改めて確認合意するようにします。私どもコンサルタントの間では、これを「事前方針書」と称し、何かあれば必ずそこを戻るべき重要書類として活用しています。

手法3.スケジュールの作り方
大規模修繕工事の計画は一朝一夕にまとまるものではありませんから、多くの場合、最初にスケジュールを用意してそれに基づいた議論を進めていきます。
よくあるのが、決めなければならないことと必要日時を傍線で表したスケジュール表です。ところがこれは役に立ちません。理事の方々で常時理事会業務に従事している方はいないはずです。全員が理事会以外の仕事を持っているため日常的には理事会のために時間をとれるのは「線」ではなく「点」のタイミングでしかありません。
具体的には、それが理事会の開催日にあたるわけですが、それが月に一度の理事会であれば、理事のメンバーが集まる時間は年間に12回しかありません。つまり「12」という「点」で、やらなければならないことを振り分けたスケジュール表でなければ役に立たないのです。
ですから、年間の理事会開催の回数を決め、そこに必要となるすべての検証、決済項目を割り振ることです。経験的には大規模修繕工事の調査から仕様の決定、工事会社の選定までを無理なく進めるためには、最低でも15回から20回程度の会合が必要となります。月に一度ではどこかで無理が発生します。最初から15~20回の理事会を年間スケジュールとして決定し、各回のテーマ・目標まで準備してしまうことが成功する大規模修繕工事への近道なのです。

カレンダーとミニチュア

スケジュールは線ではなく点で考える

 

本記事は、貴船美彦著作「マンション管理組合 理事になったら読む本」(幻冬舎2014年)から内容を抜粋して掲載しております。

つづく・・・

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