建物は壊れるということを理解し、そのうえで安全を確保するのであれば手法はあります。たとえば火災を発生させないような対策、落下物による人的被害の防止、建物の部分崩落の可能性のある部位の部分補強、部屋に閉じ込められないような玄関ドアの改修、設備機器の耐震化、エレベーターの閉じ込め防止装備、緊急防災品の保管などです。
さらに忘れてはならないものに、住民同士の助け合い体制があります。それを確立させる手法は、日常的なコミュニケーションの積み重ねのほかにありません。おわかりのように日常的なコミュニケーションとは大規模修繕工事などを通して住民間の関係強化や情報共有を図ることから生まれてきます。
また、防災を考えることは安全を考えるということと同様でもあります。地震防災だけでなく、そこには火災防災、侵入防災、衛生防災など多数の項目が関連してきます。マクロな目で防災をとらえて対応することが大切であり、さらにそれらすべての基本にあるのが住民の協力という要素です。
真の「防災」と「コミュニティ」は同じ目的を持つという点から切っても切れない関係にあります。これらも理事会がリードするマンションの生活価値向上の取り組みの結果から生まれてくるものにほかならないのです。
本記事は、貴船美彦著作「マンション管理組合 理事になったら読む本」(幻冬舎2014年)から内容を抜粋して掲載しております。
つづく・・・