理事になったら何からはじめればよい?②業務の分担を決める

マンション管理組合では総会が最高の意思決定機関です。ただし定期総会(通常総会)は年1回しか開催されませんし、事前に管理組合員に通知された議案についてしか決議することができません。
日常的な運営管理に加え、総会に向けた議案書の原案を策定するのが理事会の重要な業務です。つまり管理組合の重要事項にあたる、決算報告、事業報告、次年度予算案や事業計画、管理規約の改正案や管理組合への委託契約、長期修繕計画などの最終案をつくりあげることです。
理事会は総会の承認事項に則って日々の運営を行う組織です。緊急時の対応以外は決定権を持っていません。区分所有法には特に規定はないので、マンション管理規約によって構成や運営方法、決議方法などを決めることができます。
そこで管理組合の活動をより実効的なものにするために、総会で承認する管理規約を見直し、理事会に実質的な権限を与えていくことが一般化しています。
具体的には、管理費などの未納者への支払い請求やマンション敷地内での違法駐車への対処、生活騒音等のクレーム対応、住民による住戸のリフォーム工事の許可などを理事会に委ねることで、マンション管理の自由度を確保することが多く行われています。
理事会は一般的に理事長と副理事長のほかに数名の理事で構成されます。理事の数は、マンションの規模などによって変わりますが、このなかで理事長だけは区分所有法でも「管理者」として明確に定められています。
その役割は管理組合を代表してマンション管理に必要な契約を結び、重要書類や公印を保管し、最終的な決済を行うことです。また理事会や総会を招集してその議長を務めるのも理事長の役割です。
この理事長を補佐するのが副理事長です。理事長が不測の事態などでその役割を果たせなくなった場合には、その代理として仕事を引き継ぎます。
通常、理事はマンションの運営管理に必要な業務を分担して担当します。具体的には会計、広報、防災、修繕、イベント・企画、渉外などがこれにあたり、そのほかに必要な役職を設けることもありますし、ひとりの理事が複数を兼任する例もあります。理事長と副理事長、会計担当理事は、理事間の互選によって選ばれます。
また、管理組合は理事のほかに理事および理事会の監査役として1~2名の監事を選出します。ほかの理事からは独立し、理事会にオブザーバーとして参加することができますが、決議には参加せず、理事の業務や管理組合の財産状況などをチェックするのがその役割です。
これが理事会構成の通常の形です。理事会とは比較的少人数の集団であることは変わりません。そのなかでの業務の進め方や日常の付き合い方を工夫していくことで、単に事務的なものになるか相互に信頼関係を持った集団になるかが変わります。
いずれにせよ、理事会メンバーは協力してマンションの運営管理を実行するという目的がある以上、その関係を良好に楽しいものにしていくことが何よりです。それがほんの少しの工夫で可能になるのでしたら、まずは一人ひとりの理事が心がけるべきポイントであることは間違いありません。

本記事は、貴船美彦著作「マンション管理組合 理事になったら読む本」(幻冬舎2014年)から内容を抜粋して掲載しております。

つづく・・・

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