一般的なマンションとタワーマンションの大規模修繕工事は、基本的に修繕をするという点では同じですが、異なる点もいくつかあります。
そのため計画の際にはタワーマンションの大規模修繕工事における知識と経験がある会社に依頼をすることがとても重要です。
当社翔設計も、タワーマンションの大規模修繕工事における知識と経験がある会社の一つです。
マンションによって異なりますが、大きく分けて3つ考えられます。
<大規模修繕工事において一番大きな違いは仮設工法です。一般的な中高層マンションでは枠組み足場・ビケ足場を使用しますが、超高層マンションでは最上階まで枠組足場をかけられないため、「ゴンドラ」もしくは「リフトクライマー」などになります。
またタワーマンションは建物の形状が複雑(上階部分が膨らんでいたり、凹凸が多いなど)で、仮設足場の選択が難しく、工期・費用の増加が懸念されます。
マンションの立地や周辺環境の条件、また住環境なども踏まえ、それぞれの特徴を理解した上で、最適な仮設工法を選択する必要があります。
一般的な同等戸数のマンションと比較すると、工事費用は高くなる傾向があります。
要因としては仮設に係るコストが大きいためです。仕様においても中高層マンションよりも高耐久のものが求められるため、工法や工期により大きな差がでてきます。仮設工法・仕様の選定は重要なポイントです。
足場ではない箇所については、上下左右の移動に制限があり、一度に乗れる作業員の人数にも制限があるため、同等戸数のマンションに比べ工期は長くなります。バルコニーの形状(バルコニーが繋がっているかどうか)によっても工期は変わります。
またタワーマンションの場合上空は風が強く、特に沿岸地域に建設されているマンションの場合には、より風の影響を受けやすいことも一つの特徴です。強風の場合は工事を停止せざるを得ない場合もありますので、工期がずれてしまう可能性があります。
一般的なマンションでは大規模修繕工事の周期は12~15年と言われていますが、タワーマンションの場合、仮設工事費にかかるコストが大きいため、できるだけ修繕周期(15~18年程度)を伸ばせるような修繕内容・品質であることが大前提となります。高耐久仕様の修繕が求められ、それらの内容を反映した修繕計画である必要があります。できるだけ修繕周期の間隔を延ばし、生涯の修繕工事回数を減らすことで、長期にコストを抑えることができるため、特に1回目の大規模修繕工事の仕様が重要となります。
またタワーマンションの場合、高層のエレベーターやジムなどの共用施設、機械式駐車場がある場合が多く、長期的に修繕費用がかかることが想定されます。
新築販売時の修繕積立金の設定は、販売主が売りやすいように安く設定されているケースが多く、タワーマンションの約8割が修繕積立金の平均水準を下回っているというデータもあり、修繕積立金の不足が深刻な問題になっています。将来の資産を守るために、早い段階から適正な長期修繕計画の作成が重要です。
タワーマンションの場合、戸数も多く幅広い年齢層の居住者がいる、かつ投資目的の賃貸者も多いことから必然的に合意形成が難しくなります。それに加え上階と下階では劣化状況も異なるため、修繕内容の要望等も異なることが多く、合意形成が取りづらくなる傾向があります。
また多くの超高層マンションでは下階に店舗が入っている場合が多く、店舗との兼ね合いも大切です。そのためソフト面にも柔軟に対応できるコンサルタントを採用し、詳細な住民説明会を実施するなど円滑に進められるようなサポートが重要だと考えます。
大規模修繕工事の特徴ではありませんが、タワーマンションにおける防災対策はマンションを適切に維持するための重要な要素の一つです。2019年の台風19号の際に、タワーマンションの地下設備が浸水し、停電が発生した例もありましたが、多くのタワーマンションでは、地下部分に変電設備が設置されていることが多く、河川から遠い地域であっても街中で起こる内水氾濫等のリスクもあることから、水害対策等万が一に備えた防災対策を検討しておくことが必須事項となっております。
続きはタワーマンションの大規模修繕工事~翔設計の考え方~をご覧ください。