そこで翔設計グループのマンション総合コンサルタントでは「大規模修繕とおカネのハナシ」と題して3部連載でご案内していこうと思います。
まずは、大規模修繕は何のためにやるのか基本をお伝えする“第1部:大規模修繕工事の「基本のキ」”
次に、「修繕=耐久性の維持」だけでなく「改良」を加えた「改修」についてお伝えする“第2部:修繕から「改修」への転換”
最後に、プロによる資金計画の見直しを含めた長期改修計画の策定についてお伝えする“第3部:長期「改修」計画とおカネのハナシ”
をご案内します。
今回は、第1部:大規模修繕工事の「基本のキ」です。是非、ご覧ください。
マンションにとって必要なメンテナンスは様々ありますが、最も基本的で重要なのは、構造を長持ちさせることです。マンションの構造の殆どは、コンクリートと鉄筋・鉄骨でできています。構造を長持ちさせること、すなわち「耐久性を維持」することとは、どういうことでしょうか。
鉄筋コンクリート造(RC造)は、非常に多くの建物に採用されている構造ですが、どのような特徴があるのでしょうか。コンクリートは圧縮に強いのですが、引っ張りに弱いという特性があります。例えば、コンクリートだけで床を作ったとすると、荷重がかかった時に簡単に割れてしまいます。引っ張りの力に弱いからです。
そこで、引っ張りに強い鉄筋を組み合わせることで、圧縮にも引っ張りにも強い「鉄筋コンクリート造」という構造が生まれるのです。このRC造はとても合理的で、可塑性も高く、非常に多くの建物に採用されることになりました。
さて、この優秀な構造を長持ちさせるには、どうすれば良いのでしょうか? ポイントは鉄筋です。コンクリートは経年による強度の劣化がかなり遅いのですが、鉄筋は酸化=錆びることで強度が一気に落ちていきます。ですから、鉄筋が錆びないようにしなくてはならないのです。
コンクリートの内部に配された鉄筋は、なぜ錆びないのでしょうか? 鉄は空気に触れると酸化が始まりますが、実はコンクリートはアルカリ性なので、内部の鉄筋が錆びないのです。しかし、コンクリートは外気(風雨、紫外線、熱、排気ガスなど)に晒されているうちに、表面から徐々に中性化が進みます。中性化が進むと、そのうち内部の鉄筋周辺部分に到達し、ついに鉄筋の酸化が始まってしまうのです。
そこで、コンクリートの中性化を遅らせるため、外気に晒される部分を保護するようになりました。吹付塗装やタイル貼りの外壁をよく目にすると思います。いずれも過酷な外気からの影響からコンクリートを保護するためのカバーなのですが、どうしてもこのカバーも過酷な外気に晒されていることで劣化してしまいます。塗装であれば薄くなったりヒビが入ったり剥げてしまったり、タイル貼りであれば、タイルが浮いてきたりヒビが入ったり剥がれてしまったりします。そうなると、コンクリートが外気に晒されてしまい、中性化の進行が進んでしまいます。
構造=耐久性の維持とは、コンクリートの中性化を抑え、内部の鉄筋の酸化を守り、強い構造を長く維持していくことになります。そのために、建物外壁の塗装やタイル貼りの状態をチェックして、劣化があれば一つ一つ修繕していく必要があります。
外壁をもれなくチェックして修繕するためには、足場やゴンドラなどを設置して作業を行うことが最も合理的で確実なのですが、マンション全体が対象なので、どうしても大掛かりな作業になりますし、費用もそれなりのものとなります。また、せっかく足場やゴンドラを設置して作業するのであれば、一緒にできる工事があればまとめようという考えになり、このタイミングに工事を集中させることになります。
大規模修繕工事とは、「構造=耐久性の維持」が目的であり、マンションのメンテナンスの基本ということがご理解いただけたでしょうか。これはマンションを長く使うための最低限必要なことであり必要不可欠なことですが、それだけでは快適に暮らすことができません。長く快適に暮らしていくためには、耐久性以外にも「快適性」「安全性」「社会性」などの面で性能を向上させていく必要があります。それはまた別の記事でお話しします。
翔設計では、予定されている大規模修繕工事に対して、適切な工事内容・適正な工事費用に対するお手伝いだけでなく、長期的な目線で必要と思われる改良改善工事の提案や、長期修繕計画の見直し業務など、皆様が長く快適に暮らしていくためのお手伝いをしております。
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