【解説】マンションの作り方 - マンションは何でできている?
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目次
マンションの主要建材「コンクリート」とは?
マンションの主要建材はコンクリートです。
ではそのコンクリートとはどのようなものでしょうか。
ごく簡単に説明しますと、コンクリートとは
ポルトランドセメントに砂と小石を入れて水を加え攪拌(かくはん)したもの
です。
主要成分であるポルトランドセメントの原料となっているのは石灰石など5種類ほどの物質ですが、そのすべてが均等に使われているわけではありません。
これらの成分のなかで、石灰石と粘土が大部分を占めています。
そうすると実はマンションは石灰石と粘土で構成されている建物だとさえいえるのです。
これらの材料が水により結合されて硬いコンクリートになっているのですが、この基本があまり知られていません。このことを覚えておくと、修繕工事などの機会にさまざまなポイントを理解する助けになるはずです。
コンクリートは古代エジプト時代から存在?
コンクリートの原形は古代エジプト時代から存在していたという記録があります。
その後の歴史のなかで、現在利用されているポルトランドセメントが開発されたのですが、それからでも200年以上の歴史がある非常に利便性の高い材料です。
このコンクリートの内部に鉄筋を入れて強度を高めたものが、大部分のマンション建築に用いられている鉄筋コンクリート構造なのです。
コンクリートは多くの地域や歴史のなかで無数の実証を繰り返し、少し大げさにいえば人類に共通した一種の“財産”として定着し、現在に至っています。その利用は広範囲に及び、鉄筋コンクリートが都市をつくっているといっても過言ではないのです。
逆のいい方をすると、世の中の技術進歩は目覚しく、たとえば各種機械、コンピューターや電子機器、化学、食品、医療などの人類の生活に関係する多くは根本から変化し続けているにもかかわらず、建物の基本となるコンクリートの材料は長い歴史の中でもほとんど変わっていません。
コンクリートとは非常に古臭い、変わりばえのしない基本材料です。
しかしそれは、鉄筋コンクリートが人間の生活にとってすばらしい材料であり、工法であることの証です。
簡単にいってしまえば、ほかに代換えのきくものがないほど、人間と相性が良い材料なのです。とはいえ残念なことに、ほとんどの方は学校などでコンクリートについて教わった記憶はないでしょう。
都市の大部分を形成し、その内部で私たちが生活しているのにもかかわらず、どのような物質でどのような性質を持っているかを知る機会は与えられていません。
マンションはコンクリートと鉄筋でできている
マンション建築を簡単に説明すると、その外側を作るにあたっては合板でコンクリートの型を一層ごとに作り(仮枠といいます)、そのなかにコンクリートを流し込むことから始めます。
ただし、コンクリートだけでは引っ張られる力に対して弱くなってしまうので、強度を確保するために設計段階での定めに従って、鉄の細い棒(鉄筋)を事前に仮枠のなかに入れておきます。
このように鉄筋が内部に入って固められたものが鉄筋コンクリートです。現在、ほとんどのマンションはこの工法でつくられています。
こうして鉄筋コンクリートで主要構造部分ができあがった後に、美観を整えるために塗装やタイル貼りを施し、機能的には窓や配管を取り付け、なじみのあるマンションが完成するわけです。
つまり、マンションのベースは鉄筋コンクリートということ。その点がわかれば、建物を守るためには、コンクリートを守るというのが前提となることが理解できるはずです。
鉄筋コンクリートの強みと弱点
マンションは鉄筋コンクリートであり、その強度は非常に優れています。地震に強く、火にも燃えません。多くのマンションが鉄筋コンクリート製であるのはまさにそれが理由です。
しかしながら、そんな鉄筋コンクリートにも弱点があります。それは「経年劣化」、時間と共に品質・性能が低下することです。それはコンクリートの素材の性質上、避けることができません。
先に触れたように、コンクリートの主成分は石灰石です。その特性のひとつにアルカリ性の強さがあります。
つまり鉄筋コンクリートとは、アルカリ性が非常に強いコンクリートのなかに鉄筋が入っているものです。内部の鉄筋はアルカリ性に守られて錆びません。実はそれにより建物を支える強度が維持されているというのが、鉄筋コンクリートの強さの基本なのです。
コンクリートの寿命を測る尺度にはいくつかあります。ただし、鉄筋コンクリート自体のアルカリ性が失われることが強度に及ぼす影響は非常に大きく、直接的にマンションの寿命にかかわる条件となっています。なぜでしょう。
それは、コンクリートの素材である石灰石のアルカリ性度は時間の経過とともに低下していくからです。その結果、コンクリートは中性化していきます。そこで発生するのが内部の鉄筋の腐食です。鉄筋が錆びて膨張することで、ついには周辺のコンクリートを破壊してしまうのです。
これが一番顕著な鉄筋コンクリートの弱点である、建物崩壊のメカニズムと考えられています。つまり、コンクリートをいつまでもアルカリ性に保てれば、この崩壊のメカニズムは防げるのです。
コンクリートの中性化の理由と防止
コンクリート中性化の防止が、マンションの強度維持の鍵になることはおわかりいただけたと思います。それを防ぐためには、まず、なぜアルカリ性が失われていくのかを理解することが必要です。その原因もまたひとつだけではありません。なかでも、はっきりとわかっている原因は空気と水です。
雨が降ると、マンションのコンクリートを雨水が濡らし染み込みます。大気中を落ちてくる過程で、この雨水には空気に含まれる二酸化炭素が溶け込んでいます。ソーダ水をイメージすれば近いでしょう。つまり、酸性の雨水がコンクリートに染み込むのです。
コンクリートの中性化は、この雨水の酸とコンクリートのアルカリが反応することで起こります。さらに雨水の酸だけではなく、湿潤したコンクリートには空気中の二酸化炭素そのものも溶け込みますから、それによっても酸化作用は一層進み中性化が促進されることになります。では、それを防ぐにはどのような手段が有効なのでしょうか。
極論をいえば、マンションのコンクリートを空気や水と遮断してしまえば良いのです。可能な限りコンクリートを直接外気や雨水に触れさせないようにすることが、中性化を防ぐのに有効な手段なのです。
ですから、マンションの維持保全の基本として、大規模修繕工事において第一に考えるべきことはこの点になります。
大規模修繕工事の第一の目的はマンションのコンクリートを中性化から守ることにあります。
ですから、大規模修繕工事の主体は外壁タイルの補修や塗装となるのです。また、屋上や屋根の防水も重要になります。常時、雨や紫外線にさらされている屋上や屋根に施された防水材は劣化が一番進行しやすいため定期的な補修が必要になります。
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