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長期修繕計画でお悩みの方はこちらをご覧下さい
分譲マンションの長期修繕計画はそのマンションの管理体制の状態を示す指標の1つです。分譲マンションに住むうえで、快適に住めるかどうかを決める重要な要素の1つです。
長期修繕計画にどのような工事をどこまで組み込むか、またきちんと現地を確認し工事時期や概算工事費を定め、できるだけブレのない計画を作成することが重要となります。是非詳細をご覧下さい。
マンションに長く快適に暮らすために必要なことは
日本でマンションという住宅スタイルは完全に確立されたものになりました。東京都においては、人口の過半数がマンション住まいという調査結果もあります。マンションにお住まいの方は、今のマンションでこれからも人生を過ごそうとお考えだと思います。
バブル前より連綿と続くマンション建設を経て、その一方で、増え続ける中古マンションでは、これまでにはなかった新たな問題として浮かび上がってきています。
長く快適に暮らすためには、何が必要なのでしょうか?
<目次>
1.【衝撃】多くのマンションでおろそかになっていること
2.【激戦】熾烈を極める中古マンション市場で選ばれるために
3.【最新】修繕積立金の目安と評価制度
4.【知っていますか?】新築デベロッパーと管理会社による金額設定
5.【まとめ】長期修繕計画の見直しには、新しい資金計画策定が不可欠
1.【衝撃】多くのマンションでおろそかになっていること
<1-1.やっていること:大規模修繕工事の長周期化>
分譲マンションにお住まいであれば、殆どの方は大規模修繕工事をご存じだと思います。マンション全体に足場等をかけて、外壁の補修などを行ったりする工事のことで、10数年ごとに行われることが一般的です。
最近は、何年ごとに工事をするべきかという議論が活発になり、長周期化というキーワードも目にするようになりました。
その昔は10年周期で行っていましたが、2008年には国土交通省(以下「国交省」)がガイドラインを発表し、12年周期が望ましいとされてきました。
2021年には最近の長周期化を踏まえて12~16年周期へとガイドラインが更新されました。
<1-2.やっていないこと:改良・改善工事の計画と実施>
実は、ガイドラインの周期ばかりが注目されていますが、もっと大事なことがおろそかになっている傾向があるのです。
国交省は、大規模修繕工事で2つのことを行うように提唱しています。
一つ目は「修繕」です。劣化が進まないように、劣化しているところを直して、できるだけ当初の性能に近づけられるようにすること
(例:タイル目地のコーキングを打ち直す、防水塗料を塗り直す等)や、劣化がなるべく進まないようにすること(外壁タイルのひび割れ、浮きなどを直し、内側のコンクリートを雨水等から守ること等)が該当します。
もう一つは「改良」です。時代と共に上がる水準に対応していくために、設備のグレードアップやエントランスの改修を行ったり、新しい機能を付加したりすることになります。
国交省ではこの「修繕」と「改良」の両方を行うよう提唱しており、それを「改修」と呼んでいます。しかしながら、現実は「修繕」しか行っていないマンションが非常に多いのです。それはなぜでしょうか? それは、「改良」が長期修繕計画に入っていないため、改良の為の資金が無いからです。
2.【激戦】熾烈を極める中古マンション市場で選ばれるために
2-1.増え続けるマンションストック
全国で築40年超のマンション戸数は、2020年末時点で103万戸ですが、10年後(2030年)には2倍超の232万戸、20年後(2040年)には約4倍の405万戸と、かなりのペースで増えていきます。
2-2.激増するライバルの中で勝ち抜くには
これは、中古マンションの取引において、ライバルが増え続けることを意味しています。長寿命のマンションだからこそ、次の世代に残せる資産として、その資産価値を向上していくことが必要です。
時代が求めるマンションの水準も上がっていきます。今の新築マンションには、非接触オートロックやディスポーザー、床暖房や複層ガラスサッシはもはや標準レベルです。中古マンションも、時代に合わせて改良改善を行わなければ、時代に取り残されたものになってしまいます。
ライバルが多い中で、もし不人気物件になってしまったら、居住者は減り、最終的にはスラム化へ進むリスクが高くなります。そうならない為には、「修繕」だけでなく「改良」が必要なのです。
3.【最新】修繕積立金の目安と評価制度
<3-1.修繕積立金の新しいガイドライン>
経年を重ねたマンションが増える中、漏水問題が頻発するマンションや、修繕積立金不足で大規模修繕工事ができなかったりするマンションが増えています。そんな時代背景において、国交省は修繕積立金不足に対する警鐘として、2021年9月に新たなガイドラインを発表しました。
簡単に言えば、「このままでは積立金不足で大変なことになるかもしれませんよ、その前に早く見直しましょう」といったものです。
現状の積立額ではガイドラインと乖離する管理組合も少なくないと思われますが、その場合は少し注意が必要です。新しいガイドラインに照らして、半額程度の積立金となっている場合は、改良改善工事ができないばかりか、今後の大規模修繕工事ですら資金不足となるリスクがあるかもしれません。
そうは言っても、そこはマンションによって全て異なりますので、ガイドラインの半額でも足りているケースもあれば、ガイドラインの2倍でも不足するケースもあります。
重要なのは、専門家による客観的な評価が必要ということです。
<3-2.管理状況を把握するための法律が施行>
「マンションは管理を買え」と言われますが、どうやって管理状況を把握・判断すれば良いのでしょうか。
国交省が令和3年3月1日に改正版を施行した「マンション管理適正化法」は、適正に管理された物件かどうかという判断基準を明確にしていこうとするものです。そこには、大規模修繕工事や長期修繕計画についても盛り込まれており、適正に管理されているということは、長く快適に暮らせることにつながっていることが理解できると思います。
4.【知っていますか?】新築デベロッパーと管理会社による金額設定
<4-1.新築マンションの価格と修繕積立金の金額設定>
新築マンションはデベロッパーと呼ばれる開発会社が販売価格を決めて分譲します。その際、管理会社が決められており、その管理会社が管理費と修繕積立金を決めていきます。
マンション購入者は、ローン支払いに加えて管理費や修繕積立金、駐車場代等を含めた金額を住居費として返済計画を立てていきますので、管理費や修繕積立金があまり高いと、売れにくくなってしまうことを恐れ、新築時は低く設定する傾向が強いのです。
また、修繕積立金を段階値上げ制とすることで、当初の金額を低く見せる手法があり、このように設定されている物件も少なくないのが現実です。
<4-2.現在の計画を少しでも早く見直すことが重要>
必要最低限もしくはそれ以下の内容となっている計画に基づいた資金計画では、将来の改修費用はカバーされておらず、少しでも予定外の費用がかかればすぐに赤字になってしまう恐れもあります。
皆で少しずつ積み立てるお金ですから、少しでも早く見直すことで大きな負担とならず計画を上方修正していくことが可能です。
このように、新築時に計画されている長期修繕計画は、あくまでもたたき台であり、自分たちで見直して、改良改善を含めた長期「改修」計画にすることが必要なのです。
5.【まとめ】長期修繕計画の見直しには、新しい資金計画策定が不可欠
修繕のみで改良を行っていないマンションが多いのは、そもそも長期修繕計画には改良項目が入っていないからであり、資金が無いからなのです。新築時に用意された長期修繕計画のままでは、改良改善ができないばかりか、大規模修繕工事ですら満足に実施できない可能性もあり、早期に見直しが必要なのです。
見直した結果、そのままで問題ないマンションもあるかもしれませんが、熾烈を極める中古マンション市場において選ばれ続けるマンションになるためには、やはり改良改善を行わなければスラム化に近づいてしまうかもしれません。
長期修繕計画を見直すと、多くのマンションでは積立金不足等の資金面の問題が表面化するでしょう。長期修繕計画はすなわち資金計画ですから、この二つは表裏一体のものとして複雑に絡み合っています。
しかし、そこで諦めてはいけません。早期発見で早期改善できるほうが可能性は広がります。
翔設計では、長期修繕計画の見直しと資金計画の策定を併せた「長期改修計画」の策定をお手伝いしております。長く快適に暮らす為に必要なことですので、是非お早めにご相談ください。
長期修繕計画でお悩みの方はこちらをご覧下さい
分譲マンションの長期修繕計画はそのマンションの管理体制の状態を示す指標の1つです。分譲マンションに住むうえで、快適に住めるかどうかを決める重要な要素の1つです。
長期修繕計画にどのような工事をどこまで組み込むか、またきちんと現地を確認し工事時期や概算工事費を定め、できるだけブレのない計画を作成することが重要となります。是非詳細をご覧下さい。