大規模修繕とおカネのハナシ 〜第2部:修繕から「改修」への転換〜

目次

大規模修繕工事は耐久性の維持が目的

第1部でお話ししたように、大規模修繕工事の基本は、「構造=耐久性の維持」であり、まずはマンションを長く使うために、コンクリート内部の鉄筋を酸化から守ることなどが大前提として必要不可欠なメンテナンス内容となります。

しかし、耐久性以外の「快適性」「安全性」「使用性」などの改良・改善項目は、長期修繕計画に盛り込まれていないことが一般的です。

最近は、大規模修繕工事に対してコンサルタントに設計監理を委託するケースが多く、翔設計にも非常に多くのお声がけを頂戴しておりますが、耐久性のみの工事をいかに安く済ませるか、という考え方に基づく計画が大半を占めているのが実情ではないでしょうか。

 

どんどん熾烈を極める中古マンション市場

高度経済成長以来、日本には数多くのマンションが建てられてきました。東京都においては、2020年現在のストックマンションが1,928,021戸で、なおも新築マンションが分譲されているので、現存するマンションの数は日々増え続けています。図1は築30年以上の分譲マンション戸数について、2020年末から向こう20年間のストック住戸数の激増を表したグラフになります。

この記事を読んでいただいている皆様は、築20年以上のマンションにお住まいの方が多いのではないでしょうか。ちょうど築20年であれば、あと10年住むと築30年ですから、10年後のグラフにはお住まいのマンションもカウントされていることになります。既に建っている分譲マンションの数をかぞえているグラフですから、非常にリアルな数字になります。

これは、中古マンションの取引において、ライバルが多くなることを示しています。すなわち、選ばれ続けるマンションになるためには、耐久性だけメンテナンスしていてはダメだということが言えると思います。

 

修繕+改良=「改修」

図2は、こちらも国土交通省が提唱している、大規模修繕工事の考え方になります。12年程度の間隔で大規模修繕工事を行う計画ですが、「修繕=耐久性の維持」だけでなく「改良」を加えた「改修」を行うことが必要であると示しています。

改良を行わず、修繕のみを繰り返していくと、新築当初の性能すら満たせなくなっていき、向上していく社会水準とかけ離れていってしまうことを図3で表していますが、これは熾烈を極める中古マンション市場で、「選ばれない」こと、すなわち「スラム化」へ進んでしまうことを示していると考えます。

 

■図3

 

改修項目の4分類

さて、「耐久性」以外の改良改善項目には、どんなものがあるのでしょうか。図4はマンションの改修における項目を「耐久性」「快適性」「安全性」「使用性」の4つに分類していますが、対応すべき改良改善ニーズは多岐にわたっていることが分かります。

オートロックの設置や更新、給排水設備や通信インフラの更新などの時代的なリニューアルニーズだけでなく、昨今被害が拡大している水害(台風、線状降水帯、ゲリラ豪雨など)への備えなど、実に多くの項目があることに気付かれた方も多いのではないでしょうか。

これらを対応していくことで、時代に取り残されず選ばれ続けるマンションを目指し、資産価値の向上と快適な暮らしを実現したいのです。

 

長期改修計画が必要

改修4項目に対して、全方位に対応するためには、どうすれば良いのでしょうか。現状の長期修繕計画には、耐久性の維持以外の項目は殆ど入っていないものが大半です。

マンションにとって必要なメンテナンスは様々ありますが、最も基本的で重要なのは、構造を長持ちさせることに加えて、給排水管の更新だと言えます。次に、10年単位で進歩を続ける通信(現在は5G)インフラの更新や、オートロック・バリアフリー関連への対応、そして玄関扉とサッシ更新というのが、多くのマンションに共通する項目ではないでしょうか。

給排水管については、漏水問題に直結する重要な項目でありながら、共用部と専有部の両方にまたがる工事ということもあって、取り組みは容易ではありません。最近では、共用部の配管更新に伴って、専有部内の配管も含めた更新計画を立てるケースがどんどん増えています。マンションは一体の建物ですから、共用部と専有部を合わせて更新することは、合理性の意味でも意味のある計画と言えます。

これら、多岐に渡る項目を検討して長期修繕計画を見直し、長期「改修」計画を策定していくことが、選ばれ続けるマンションに必要な改修のスタートとなります。

 

まとめ

熾烈を極める中古マンション市場において、選ばれ続けるマンションを目指すには、修繕だけ対応していては不足であることが理解できたと思います。メンテナンスの基本である「耐久性」に加え、「快適性」「安全性」「使用性」の各項目に対し、時代の要求に合わせながらどのように対応していくか、現在の長期修繕計画に縛られずに、改めて長期「改修」計画を策定し直すことが必要です。

翔設計では、それぞれのマンションによって異なる改修検討項目をまとめ、選ばれ続けるマンションを目指し、お住まいの皆様が長く快適に誇らしく暮らせることを目標に、長期改修計画の策定をお手伝いいたします。

無料相談を受け付けておりますので、些細なことから大きなことまで、何でもご相談ください。

 

  ▶ 第1部:大規模工事の「基本のキ」 はこちら

  ▶ 第3部:長期「改修」計画とおカネのハナシ はこちら

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分譲マンションの長期修繕計画はそのマンションの管理体制の状態を示す指標の1つです。分譲マンションに住むうえで、快適に住めるかどうかを決める重要な要素の1つです。

長期修繕計画にどのような工事をどこまで組み込むか、またきちんと現地を確認し工事時期や概算工事費を定め、できるだけブレのない計画を作成することが重要となります。是非詳細をご覧下さい。

大規模修繕は管理組合にとって、ビッグプロジェクトです。長く快適に暮らし、次世代に住み継ぐために、いかにして建物を管理していくか、という管理組合の意識が求められます。また、タワーマンションは他のマンションとは異なる部分が異なり実際の経験があるかどうかが重要です。お悩みの方はお問合せ下さい、お待ちしております。

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