翔設計グループは設立以来、公共建物の保全をはじめ、福祉建築や商業施設・マンション等の修繕や改修など、建物を長く使っていくための業務を数多く手掛けてきました。特に、マンションの大規模修繕工事の実施や、長期修繕計画の策定・見直し業務については、業界のパイオニアとしてリードしてきました。
その中で、マンションが年を重ねていく過程で直面する様々なケースを、管理組合様と一緒に解決してきた経験があります。例えば、現在の区分所有法では手を付けにくかった「マンション全体の配管問題」や、「専有部分にも関わる社会適応性の改修」など、実績豊富な翔設計だからこそできるご提案があります。
時代の流れとともに、マンションに求められる機能も変化していきます。耐久性の維持管理だけでなく、快適に住み続けられる価値あるマンションとして、資産価値の向上を含め、みなさまに愛されるマンションへと成長させます。
築年数が40年を超えようとしてくると、「さて、あと何年このマンションが使えるのか?」「このまま大規模修繕工事を繰り返すことで問題ないのか」という疑問が必ず出ます。同時に、専有部給排水管からの漏水事故が増えていき、マンション全体の問題として取り上げるべき課題となります。このころには、築年数の問題で漏水保険にも加入できなくなってくるからです。
建替えについては、お金があればもちろん可能だと思いますが、建替えに向けて積立してきている管理組合は皆無ですし、仮にお金の問題を無視したとしても、共同住宅である以上、合意形成なくして進めることはできません。現役からリタイアした方にとっては、お金がないからといって住宅ローンを利用できるわけではありませんし、あまりに非現実的な費用が目の前に立ちはだかることになります。
国土交通省の調査でも、この30年間で、築40年以上のマンションが建替えを実施できたケースは、わずか2%に過ぎないという結果も出ています。一体どんなマンションだったのでしょうか。よほどの事情と条件が重ならない限り、建替えは非常に難しい選択肢であることに間違いありません。
建替えが非現実的となれば、マンションを長く使っていくしかありません。意識調査でも「住み替えたい」人は年々減少し、「永住したい」人がどんどん増えています。高齢化の背景もあるでしょう。そうなると、大規模修繕工事を繰り返していく方法しか無いように思えますが、果たしてそれで問題無いのでしょうか。
大規模修繕工事は「長期修繕計画」に基づいて計画実施されるものです。しかし、長期修繕計画は一般的に築30年程度までしか策定されておらず、その後マンションを使い続けるための計画が存在していないのが現状でしょう。長く使っていくためには、例えば築100年をゴールとした時の計画を改めて立てなくてはなりません。
そこで、長期修繕計画の再設計と、それに基づいた修繕工事(工事規模は大中小様々)を実施していく必要があります。
そもそもマンションは何年くらい使えるものなのでしょうか。実は、一般的にマンションの維持管理が適正に行われていれば、100年程度は十分に耐用できるとされています。コンクリートだけの耐久性でいえば、もっと長期間の耐用年数になりますが、実は内部の鉄筋の状態が肝心なのです。
コンクリートはアルカリ性です。内部の鉄筋は文字通り鉄ですから、酸化すると錆びて耐久性が一気に落ちます。鉄はアルカリ性のコンクリート内部では錆びることなく保持されます。しかし、コンクリートは排気ガスや汚れ、雨水の浸入などにより、アルカリ性から中性化が進んでいくため、いずれ鉄筋部分のコンクリートが中性化されると鉄が錆びてしまうのです。これが鉄筋コンクリート造のマンションの耐用年数になります。
かぶり厚さ(cm) | 鉄筋到達年数 |
---|---|
2cm | 29年 |
3cm | 65年 |
4cm | 115年 |
5cm | 180年 |
上記はかぶり厚さによる、中性化が内部の鉄筋に到達するまでの年数になります。また塗装などの仕上げをしていない状態での年数になりますので、多くのマンションでは仕上げが施工されているため、鉄筋到達年数はより長くなります。実際に中性化の深さを把握されたい場合は、下記調査の実施をお勧めします。
マンションを新築するときは、当然ですが、専有部も共用部も全てがひとつの建物として建設します。しかし、引き渡しが済んだ時点から、共用部と専有部の管理は別々の道を歩んでいきます。共用部は管理組合、専有部は各個人です。長期修繕計画や修繕工事は共用部が対象ですが、専有部は個人任せで良いのでしょうか。
長く使っていくためには、マンションをもう一度ひとつの建物として見ていく必要があります。給排水管、サッシや玄関、通信インフラ、セキュリティ、バリアフリー、環境性能など、トータルで見なおしていく必要があるのです。
大規模修繕工事の主目的は、鉄筋コンクリート造の耐久性を保全することであり、セキュリティや機能性、社会性や快適性といった面は、置き去りになっているケースが大半です。なぜなら、修繕積立金は「耐久性」部分の目的でしか積み立てられていないため、それ以外の目的に資金を回す余裕が無いのです。
このように「修繕」だけしていては、長く快適に暮らすことはできず、「改修」していく必要があります。そこで、耐久性以外の面も含めて改修していくための「長期改修計画」を策定しなおし、資金計画も含めて再設計することが必要です。
大規模修繕工事では「共用部のみ」を検討していることがこれまでの標準でしたが、これからは「専有部」を含めた大規模修繕工事を検討する時代です!
国土交通省「マンションへの永住意識」調査でも年々「永住するつもりである」とする回答割合が増加しています。
居住者が住みよいマンションにするためには、「共用部」だけでなく、「専有部」にも目を向け、資産価値向上を図ることが必要です。
翔設計は、マンション総合コンサルタントとして、数多くの実績と先見性を持って、皆様のマンションの未来を考えます。
快適に長く暮らすために、そしてマンションの資産価値を高めるためには、耐久性のみを対象とする大規模修繕工事では不十分
総合力を高めないと、中古マンション同士の比較で負けてしまう。新しい人が入ってこなくなると、空室が生まれ、役員のなり手不足から管理不全マンションとなるだけでなく、修繕積立金も不足する。最終的には耐久性すら維持できず、スラム化が加速していく。
劣化の3種類。物理的劣化に対処するのが修繕工事であり、大規模修繕工事では「機能的劣化」や「社会的劣化」に対処しきれないのが現実。
種類 | 意味 |
---|---|
物理的劣化 | 竣工から年月が過ぎた建物は、雨水や排気ガスその他化学的要因、および長年の使用による物理的要因によって使用材料・機器の劣化がはじまり、進行します。 この劣化に応じて定期的な修繕が必要となり、劣化が建物全体に広がると大規模修繕が必要となります。 |
機能的劣化 | 技術の進化により、建物建築時に比べて高性能・小型化された設備機器や材料が開発された結果、性能が低下していなくても相対的に劣化(陳腐化)することがあります。 また、法改正により、法令の基準に適合しなくなることも、これにあたります。具体的には、新耐震基準以前(※)に建築された建物等が該当します。 |
社会的劣化 | 社会的な要求が時代とともに変化するために生じる劣化のことで、高度情報化や部屋構成等に対応できないことで生じる劣化のことです。 インターネット等の通信インフラや防犯システムが完備されているマンションが販売されている現在、このようなニーズに対応できないものがこの劣化にあたります。 |
築40年前後のマンションにおいて、最近増えている相談の一つに「専有部からの漏水問題」があります。給排水管は、共用部と専有部にまたがって配置されていて、共用部の範囲だけ配管の更新工事を行っても、専有部分の配管更新は区分所有者任せになっていて、根本的な解決に至らないケースが増えています。
日本においては、1962年に公布された区分所有法により、共用部と専有部の管理が真っ二つに分かれています。当時と比べると、集合住宅のあり方や抱える課題は大きく変わってきているのが現実ですが、この法の定義に従うと専有部の漏水は区分所有者の責任において対処することになります。しかし築年数が進んでいく中で、居住者の年齢も高齢化していき、専有部の大規模な修繕が実施しにくい現実があります。
そこで、最近では専有部の配管更新も共用部の延長部分とみなして工事を行う事例が少しずつ増えてきました。共用部の修繕工事を目的とした修繕積立金を、専有部の一部の修繕に充てることに対しても、裁判所の判例などが後押ししている現状です。
マンションを新築するときは、共用部と専有部をバラバラに設計・工事をするわけではなく、一体の建物として設計・工事をするのが当然であり、修繕においても「一体の建物」として捉えていくことが重要なポイントなのです。
私たちは、大規模修繕工事や長期修繕計画のコンサルのパイオニアとして、これまで数多くのマンションの長寿命化をお手伝いしてきました。しかし、築30年40年を経過するマンションが、これから続々と増え続ける時代において、より「改修」を主目的としたマンション保全のコンサルを提供していく必要があると考えています。
「修繕」から「改修」へ。長期『改修』計画と大規模『改修』工事。これからのマンションに必要不可欠なのは『改修』計画であり、マンションを一つの建物として捉える『改修』工事です。人間も40歳を超えると人間ドックに入るのと同じで、あちこち少しずつガタが出てくるので、食生活の改善を含めたトータルケアが必要となってくるのです。
築年数を経過してくると、給排水工事が必要となるタイミングがあります。それに伴い専有部水回りの解体再建工事が発生します。また、玄関扉やサッシの交換でも専有部立ち入りが必要になります。どうせ専有部に工事が入るのであれば、水回り以外の部分など、一緒にリフォームしたくなるものですし、実際問題として専有部も築年数の経過により、かなりくたびれてきている箇所が少なくないでしょう。
翔設計が推奨する【トータル・リノベーション】では、大規模修繕工事に合わせて、共用部の改良工事や専有部のリフォームまで行うことで、圧倒的に高い合理性とコスト削減を実現する、新しいマンション改修のカタチです。
マンションというのは、共用部と専有部がつながった一つの建物であり、マンション全体を長く使っていくためには、一体の建物として改修していく必要がある。
共用部もそれぞれの工事を分けて計画し、専有部は区分所有者それぞれの任意で工事を行う、一般的な修繕の姿
共用部の工事をまとめるだけでなく、専有部もまとめて工事を実施することで、圧倒的な合理性の実現と付加価値の向上を図ることが可能
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これまでの長期修繕計画を見直し、長期「改修」計画の策定をお手伝いいたします。修繕だけ行っていては、いずれ選ばれなくなりスラム化へ進んでしまうリスクがあります。<修繕+改良=改修>という、当たり前の考え方に沿って、長く快適に暮らしていけるために重要な改修計画を策定いたします。
また、修繕のみを対象としていた修繕積立金の資金計画だけでは、長期改修計画に対応ができないケースが出てきます。長期改修計画は立てて終わりではなく、実現しなくてはなりませんので、様々な角度から資金計画を見直し、長期改修計画に沿った策定をお手伝いいたします。
長期修繕計画から「長期改修計画」へ転換し、長く快適に暮らす為に必要な改修を行えるように、ご要望を伺いながら計画を策定します。
また、計画の実現のために、保険・運用・ローン・補助金等をトータルに勘案し、資金計画の見直しも合わせてお手伝いします。
計画共用期間 | 計画共用期間 | 共用限界期間※ | 耐久設計基準強度 |
---|---|---|---|
短期 | およそ30年 | およそ65年 | 18N/mm2 |
標準 | およそ65年 | およそ100年 | 24N/mm2 |
長期 | およそ100年 | およそ200年 | 30N/mm2 |
超長期 | およそ200年 | ― | 36N/mm2 |
※供用限界期間とは建物を継続使用したい場合、構造体や部材の大規模な修繕を必要とする期間
↓どのマンションでも起こりうる ①集中豪雨による 内水氾濫 |
②水路・支川等の 内水氾濫 |
③主要河川の 外水氾濫 |
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最大浸水深さ | GL+30cm程度 | GL+50cm程度 | GL+150cm程度 |
浸水継続時間 | 2時間程度 | 12時間程度 | 24時間程度 |
氾濫水 | ・土砂は極めて少ない・汚水を含む | ・多少の土砂を含む | ・一定の土砂を含む |
考え方 | ・地上置きキュービクルは浸水せず ・開口部は土嚢・止水版等により止水可能 ・地下階・ピット等への浸水は、ポンプにより排水可 |
・地上置きキュービクルは下部が浸水 ・開口部止水は土嚢は不可、止水版は可 ・地下階・ピット等への浸水に対しポンプは容量超過 |
・地上置きキュービクルは、ほぼ全て浸水 ・開口部等からの浸水防止はほぼ不可能・建物1階部分が浸水 |
永住することを視野に入れた場合、住まわれる家族構成も変化していきます。利用しなくなったお部屋を間取り変更を含むリフォームをすることで、より快適に、より現住者にフィットした住環境に更新していくことも重要です。
翔設計では、「トータル・リノベーション」という考え方で、マンションに「長く快適に暮らし、住み継ぐ」をテーマに、様々な課題に対して解決していく取り組みを行っています。それは、共用部にとどまらず、専有部リフォームも含めたマンション全体が対象であり、「共用部も専有部も繋がっている一体の建物である」という、当たり前の考えに基づいている考え方です。
単体の修繕はもちろんですが、複合的なご提案をさせて頂きます。
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