長期修繕計画見直し

長期修繕計画見直し

分譲マンションの長期修繕計画はそのマンションの管理体制の状態を示す指標の1つです。分譲マンションに住むうえで、快適に住めるかどうかを決める重要な要素の1つです。

長期修繕計画とは

  • 向こう30年、いつどのような工事を行う必要があるか、いくらかかる見込みかが記載されている
  • 合わせて修繕積立金の累計と、工事での支出が計算された収支計画も含まれる

ものです。

長期修繕計画は5年後に見直すものだとご存じですか?

まず重要なポイントは「国土交通省の長期修繕計画ガイドラインでは5年に1度見直すことが推奨されている」ことです。

なぜなら、計画と現実は当然差が出てくるうえに、時代と共に物価も変動していくため、定期的な見直しをしていかないと現実にそぐわない計画になってしまいます。

ここ数年で修繕積立金不足マンションが問題視されています。
そして今後、高経年マンションが急増します。

従って長期修繕計画の位置づけはより重要なものとなり、適切な計画を立てているマンションとそうでないマンションとの差は大きくなります。以下のグラフをご覧下さい。

長期修繕計画作成_グラフ

なぜ修繕積立金が足りなくなるのか

国土交通省の調べでは、約35%のマンションで修繕積立金が不足していると言われています。しかし実際にはさらに多い割合で不足していることが想像されます。

修繕積立金が不足する「3大原因」とは?

1.新築時の修繕積立金金額が低く設定されていて、その後値上げをしていない

マンションは新築時にはできるだけ低額で販売をするために修繕積立金は安く設定されており、その後段階的に値上げをすることを前提に作られています。しかし実際には定期的な値上げを実行しているマンションは多くありません。また工事費は大雑把に計上されていることがあります。

2.当初の計画には設備改修工事や改良工事が入っていない

新築時の向こう30年の計画には2回目の大規模修繕工事までが見込まれておりますが、築25年~30年以降に発生する給排水設備改修工事や、時代的劣化をリニューアルするための改良工事等が見込まれていないケースが多くあります。

当初の収支計画は黒字であったマンションも第1回目の大規模修繕工事を終えたあとの見直しにより、築30年以降の必要工事を見込むと、収支計画上赤字となってしまうマンションをよく見かけます。 

3.物価の上昇は見込まれていない

30年先の工事費や人件費等の物価上昇率は誰にもわからないため、長期修繕計画を作成する段階では物価上昇は見込まれていない場合もあります。その場合、当初の概算工事費と実際の工事金額に乖離が生まれ、想定よりも支出が多くなり赤字となってしまう可能性があります。

修繕積立金が足りないとどうなるか

大規模修繕工事は建物の躯体を守るために12~15年に一度実施します。この工事が適切に行われないと、建物は老朽化しボロボロになります。そうすると、今後ただでさえ人口が減少する中で、老朽化が進んだマンションを購入したい人はいないため、空き室の増加を促すことに繋がる。その結果、さらに修繕積立金が集まらなくなり、残された所有者で建物を維持していく必要があり負担が大きくなります。そして、最終的にはスラム化・廃墟化の道をたどります。

適切な長期修繕計画を作成することが重要

長期修繕計画の見直しは、工事計画と資金計画がセット

適切な長期修繕計画のもと、必要な修繕工事をきちんと行っているマンションこそ、時代に取り残されず選ばれ続けるマンションとなります。

長期修繕計画の見直しは、工事計画と資金計画がセットとなります。見直しにあたり、様々な項目について採択を検討するわけですが、立ちはだかるのはおカネです。

少しでも合理的な工事計画を立て、できるだけ工事費を圧縮していくことに加え、必要に応じて修繕積立金の値上げも同時に検討していかなくてはなりません。

翔設計では複数パターンのシミュレーションを元に伴走支援

翔設計では、2~3パターンの値上げシュミレーションを作成し、それをもとに管理組合様の方でどのパターンで進めていくかを決定頂きます。

また修繕工事に加え、改良改善工事を組み込むことで資産価値向上と快適な暮らしを実現することができます。将来必要になるであろう工事が見込まれていない場合や、時期をずらすだけの見直しでは無意味な計画になるだけです。

長期修繕計画にどのような工事をどこまで組み込むか、またきちんと現地を確認し工事時期や概算工事費を定め、できるだけブレのない計画を作成することが重要となります。 

翔設計の長期修繕計画作成の特徴

1.マンションごとにカスタマイズ

マンションによって立地や規模、使用している部材、耐用年数や劣化状況も異なるため、それぞれのマンションの特徴を把握し、修繕周期の設定や、必要に応じて工事項目の追加等を行います。

長期修繕計画作成時には、建物調査診断を行い、劣化状況を見極めて修繕周期を設定します。また工事の合理性を追求し、同時に行う方が合理的である場合は同時に行う計画にするなど、マンション毎に計画を立てます。

2.現実的な計画・実現できる計画

翔設計の長期修繕計画は、しっかりと現地を把握し現実的な計画をご提示します。修繕周期を変えるだけ、工事単価を変えるだけの机上の計画ではなく、マンションの状況を踏まえ、築年数や仕様に応じて修繕周期や工事費を算出しているので、現実に則した長期修繕計画となります。

3.組合の要望を汲んで作成

長期修繕計画の中にどこまでの工事を組み込むかは管理組合ごとに異なります。多くのマンションでは改良改善工事の費用が入っていないことが多くありますが、実際にはエントランスのリニューアルや、サッシ・玄関扉の更新等はどこかのタイミングで必要となります。

その費用が計画に入っていなければ、当然収支のバランスが崩れ赤字になる可能性が高くなります。どこまでの計画を見込んで計画を立てるかは各管理組合様と相談のうえ決定していきます。

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