高経年マンションを負の遺産にしないために

高経年マンションは再生検討を行い、実現可能な選択肢を把握することが必要です。

建物の老朽化と所有者の高齢化という「2つの老い」が同時に進んでいます。

工事費の高騰などにより、マンション再生の選択肢はかつてないほど複雑になっています。「修繕を続けていれば大丈夫」という従来の常識が、もはや通用しない時代です。
高経年マンションを負の遺産にしないためにも、再生検討を通じて実現可能な選択肢を把握することが、これからますます重要になります。

高経年マンションは、これからさらに増えていきます

日本の分譲マンションストック総数は約713万戸(2024年末時点)を超えており、そのうち築40年を超える高経年マンションはすでに約148万戸に上ります。しかし、これはまだ序章に過ぎません。20年後にはその数が約3.3倍の482万戸に達するという予測もあり、半数以上が築40年以上となる時代が確実に迫っています。

実現可能な選択肢を、早く把握することをおすすめします

高経年マンションでは、建物の老朽化だけでなく、所有者の高齢化や時代適応という課題が幾重にも重なっていきます。加えて工事費の高騰が追い打ちをかけ、将来の選択肢はこれまで以上に複雑になっています。

だからこそ、漫然と維持延命を続けるのではなく、再生検討を通じて実現可能な選択肢を早い段階で把握することが重要です。それが、高経年マンションを負の遺産にしないための確かな第一歩になります。

高経年マンションの再生プロセス

1.高経年マンションでは「二つの老い」が同時に進みます

マンションの持続可能性を脅かすのは、建物の物理的な寿命だけではありません。「建物の老い(老朽化)」と「所有者の老い(高齢化)」が同時に進行することで、管理不全のリスクが急激に高まっていきます。

建物の老い——三つの劣化が複合的に進行する

高経年の建物では、「物理的劣化」「機能的劣化」「社会的劣化」という三つの劣化が複合的に進みます。鉄筋コンクリートの躯体を修繕して寿命を延ばすだけでなく、インフラ設備や内装の改修も避けられません。物価は長期的に必ず上昇していく以上、修繕計画を継続的に見直しながら運営していくことが求められます。

所有者の老い——管理の担い手が失われていく

建物とともに所有者も年を重ねていきます。少子高齢化が進むなか、建物の寿命は人間よりも長くなることが多く、高齢者が高経年建物を管理するという難しい時代に直面しています。資金面での対応力が落ち、修繕・改修に関する合意形成も難しくなると、管理不全に陥るリスクは一気に大きくなります。

2.維持していくためには、時代適応の改修も必要です

若い世代は今の時代に必要な機能やデザインが整っていなければ、そのマンションを選んでくれません。

オートロック、宅配ボックス、高速インターネット、バリアフリー、現代的な間取り、断熱性能、EV充電器——高経年マンションでは、こうした時代適応の改修工事が求められます。

ただし、資金面や合意形成に課題を抱えるマンションでは改修が進まず、結果として市場での競争力が低下していきます。空室の増加、賃料・売却価格の下落、さらにはスラム化へとつながるリスクは、決して絵空事ではありません。

3.築40年を超えたら「再生検討」が分岐点になります

築40年前後を目安に、漫然と修繕を続けるだけでは将来の不安を解消しきれない時期に入ります。

維持延命を続けること自体が悪いわけではありません。問題は、「何を目指して、どこまで延命していくのか」を考えないまま進めてしまうことです。目的なき延命は、将来の不安を先送りするだけになってしまいます。

こうした状況のなかで必要になるのが、建物の将来を決定する「再生検討」です。選択肢は大きく「建替え」か「長寿命化(延命)」に分かれており、近年は「敷地売却」も現実的な選択肢として存在感を高めています。

高経年マンションを負の遺産にしないためにも、再生検討を行い、自分たちのマンションにとって実現可能な選択肢が何かを把握しておくことが、今という時代には不可欠です。

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